もくじ
❚天秤
安全第一という言葉。安全を第一に考えて、常に安全な仕事が出来る様にという思い。
これは多くの生産工場で掲げられている事です。
ただ現実はほとんどの生産工場が生産第一、品質最重視、人命は第2第3となっていると感じている方が大半。例え工場内で不幸な事故が起ころうとも、工場は止まりません。
いや止まるとしても僅かな時間のみ。
これは生産を止めてしまうと従業員の生活を守る事が難しくなってしまうという事と、生産を止めてしまうと企業への信頼が下がってしまうという事からでしょうか。
その背景は理解出来ます。
がしかし、現場で危険個所がある事が分かり切っている部分を改善しようとせず、暗黙の中で生産稼働を続ける姿勢には疑念を抱かざるを得ません。
そしていつだってそう。事故や事件、問題が起こってから事後対応を行う。
今後同じ事が起こらない様にと考案された改善案は付け焼刃のやってますよ感。
人あってこその企業。人あってこその経済。人あってこその生産。
ではない何かが渦巻いてしまっている気がしてなりません。
❚豊田章男社長のスピーチは素晴らしい
2/24はトヨタ再出発の日。豊田さんが社長に就任した直後に起こった一連の大規模リコール問題。尊い人命が失われる事故となった問題。豊田社長が米国議会の公聴席に出席し、証言したのは2010年2月24日のこと。あれからもう11年。
毎年のようにこの日の事を風化させない為に、社内ではこの時の事を振り返る為のミーディングが行われています。
が、一部部署では当日にミーティングが行われていない所もあったりする様子。
この問題は社員のみならず関係者にとっても決して無視する事が出来ないような大きな問題なはずなのですが、一部にはこの問題の大きさが伝わっていないんじゃないかと思える様な行動が見受けられました。
うん。人それぞれ価値観が異なりますからね。多様性は認められて当然だと思います。思いますが、少なからずましてトヨタに属する社員としてこの問題の日をスルーするという行為は如何なものなのでしょうか。
決してトヨタを推している訳ではありませんが、企業に属する者としての行動としては疑問を感じてしまいますね。
この日、ミーティングで社長のメッセージ動画などを視聴致しましたが、数々の修羅場を潜り抜けてきた豊田社長。さすがにスピーチがうまいです。
頭はいいし、行動力もあり、経営手腕もある。さすが世界に誇る国内トップ企業の社長さんだけあります。
この熱い想いに乗っかって、どこまでも共に歩んで行きたいと思う社員も少なくないと思いますね。
けれど、現場を見渡すとその熱い想いとは裏腹に冷め切った声が聞こえてきたりもします。この温度差の違いの要因は何なのでしょうか。
❚圧倒的なコミュニケーション不足に陥る環境
生産現場というのは常に秒単位で管理された作業の連続です。
雑談している暇なんて全くありません。まぁ、一部工程によっては余裕がある所もあるのでしょうが。
社会人としての礼儀、礼節も、モラルも、学べる環境がほとんどありません。
いわば作業員は与えられた作業のみをこなしていればそれでいいという環境です。その為、敬語が使えない人、社会人としての一般常識的なモラルが欠如している人、暴言を吐きまくる人、威圧的・高圧的な態度を取り続ける人。
社会人としての基本的要項が欠如したままの人は工場内には多々います。
トヨタは定期的に教育の場を設けたりしていますが、それはあくまで業務的な内容。
人材教育分野において大切な教養に関する部分はほぼノータッチです。その為、人格育成においては放置状態。これでは現場の空気が良くなるはずもありません。
とある年配熟練社員の方が洩らした言葉に少し驚きました。
❚社員の想い
トヨタ九州設立当初から在籍する、とある熟年社員の方がポツリと漏らしました。
「もうここに来たくないもん。色々異常だよこの会社は」
この言葉を聞いた時、少し驚きました。
長年働いてきた熟練社員がこんな事を言い出してしまう企業ってこのままでいいのか?と。教養部分をマニュアル化して大切な部分を蔑ろにしてきた結果でしょうか。
結局、人と人とが協力し合って仕事を行う上において、大切なのはお互いの信頼関係です。けれど現場を見渡すと、俺が俺が精神の方が多いこと。
他を蹴落として自分は生き残る。確かに他業界でも多々見られる光景なのですが、それで本当に仕事やってて楽しいですか?情熱を注ぎ続けられますか?と。
信頼関係がしっかりと構築された現場というのは本当に仕事してて楽しいものです。
助け合い、補い合い、協力し合い、励まし合い。
そうしていい仕事をみんなで造り上げていくその流れこそが、本当の意味でのいい仕事に繋がるのではないでしょうか。
とある社員とこんな話をしていました。
この会社も、もっと社会人としてのモラルとか、他の人への配慮だとか、そういった教育をするべきだよね。と。無神経に行動する人が多過ぎるよねと。
彼は情熱高く、自分がこの先飛躍して行って、会社を変えてやるんだと意気込んでいました。こういう人材は本当に大切にするべきです。
管理人は車業界に居ながら全く車に興味がないですし、トヨタという会社が好きでも嫌いでもないですが、出来得る範囲で支えてくれているなと感謝はしております。
日本を代表する大きな会社なので、広く想いを浸透させるのは難しいかも知れませんが、より良い環境を作り上げて、今後もよりいい製品を生み出して行って欲しいなと思っています。そして社員や関連業界の方々を大切にして行って欲しいなと願っています。
健康、人命あってこその企業ですからね。